※書写歴・学年・年齢は、取材時におけるものです。
書写歴2年
Sさん(30代)
「先生が待ってくれている」と思うと、
自然と足が教室へ向かいます。
私は普段、事務職として働きながら週に一度書写教室に通っています。最初は「仕事と両立できるかな」と不安でしたが、早いものでもうすぐ一年半がたとうとしています。
楽しく続けられる理由は、先生のおかげです。私が通う教室の先生は明るくおおらかで本当にすてきな方です。忙しいときは「少し進度をゆるめましょう」と私の生活スタイルに合ったペースを提案してくださるし、「働いているのだから、週に一度教室に通うだけで十分!よく頑張っていますよ」といつも励ましてくれます。「予定どおり教材を進められなかった」とマイナスに考えるとモチベーションが下がりますが、先生のように言ってくださると逆にやる気が湧いてきます。「先生が待ってくれている」と思うと、仕事で疲れていても自然と足が教室へ向かいます。
「事務職なのに文字がきれいに書けない
のは恥ずかしい」と思っていました。
教室での時間は、私にとって気持ちをリフレッシュする時間です。いつも集中して教材に向無心になって文字を書いています。教材に取りかかるときは、まず「お手本をじっくり見る」こと、それから「なぞり学習」、プリントに薄く書かれた文字をなぞりながら正しい字形を学びます。「実際に自分で書く」のは、その後。一般的な書道教室なら、お手本を見てすぐに自分で書くように指導されるようですが、公文書写の場合、3段階で徐々に文字を自分のものにしていきます。
その甲斐もあって、入会当初に書いたプリントと見比べると少し上達していました。手応えを感じると、大人でもうれしいものですね。教室に通うまでは文字に自信がなく、書類に記入するのも他の人に頼ってばかり。自分でもずっと「事務職なのにきちんとした文字が書けないのは恥ずかしい」と思っていました。だけど、今は書くことに自信がつき前向きに取り組めるようになりました。
職場で「文字がきれいな人」という
イメージが定着したらうれしいですね。
私が今、めざしているのは早く美しい文字を書くことです。先生からも「普段、走り書きをしたときに美しく書けてこそ文字が身についたということ。最初のうちは、ゆっくりていねいに書いて正しい文字を学びますが、慣れてきたら少しずつ時間を意識してね」と言われています。
実際に時計で計ってみると、最初は1枚当たり10分程度かかっていましたが、今は6分程度になりました。美しさをキープしつつ、速く書くのは難しいので、まだまだ練習が必要です。でも、いつか職場で「文字がきれいな人」というイメージが定着したらうれしいですね。そんな日が来たら、すぐに教室の先生に報告します。きっと先生は自分のことのように喜んでくれるはずです。