メニュー

閉じる

公文式教育を貫くもの

公文式の創始者である故・公文 公が残した言葉を紹介しながら、
公文式が目指す教育について、あらためて考えていきたいと思います。

第10回 標準完成時間

公文式教育を貫くもの

標準完成時間が定まる以前は、子どもの能力差をはかりにくいため「うちに来る子はどんなにできる子でも3回は復習させます」というような先生もいらっしゃいました。過去の指導であったとはいうものの、このような指導では能力の高い子どもを十分に伸ばしているとは言えません。

公文 公

第9回で、公文式では日々100点を積み重ねながら学習を進めていくと述べました。自分自身の力で100点に仕上げていくことで、更に上に挑戦しようとする意欲が育まれるからです。

ところで、「なぜ公文式では100点を取ってもまた同じところを学習(復習)させるのですか」という質問を受けることがあります。一口に100点といっても、必死にがんばって時間をかけて取った100点もあれば、余裕をもって短時間でサッサッとできた100点もあります。その段階だけに限れば同じ100点に見えるかもしれませんが、学習は更に高いところへ高いところへと進むことを考えて、必要な力をつけることが大切です。

では、どういう状態なら先へ進めて、どういう状態の場合に復習すればいいのでしょうか。一般に、家庭や学校ではそれを見極める適切な基準がありません。そのために、子どもに無理をさせたり、あるいは必要のない、くり返し学習をさせてむだ足を踏ませていることも少なくないのです。公文式では、そのような無理やむだをしないように、学力の程度と定着度をチェックする基準を設けています。それが「標準完成時間」です。

一枚一枚の教材を仕上げる時間を、例えば2分〜4分と設定しています。つまり、それぞれの段階の問題の内容と量から見て、これくらいの時間内で解き終えなくては、次に進んで安心できるその段階の力がついたとはいえない、という基準です。同じ100点でも、くり返し練習するうちに時間は必ず短縮してきます。学習のスピードが速まるということは、その段階までの学力としての知的技術を自分のものとして身につけてきたということを意味します。その技術を素早く正確に駆使することによって、ラクにできるようになるので、本人は丁寧に解いているつもりでも、結果として時間が短くてすむようになるのです。

標準完成時間はx分〜y分と幅を持たせてあり、「x分以下なら先へ進める」、「y分以上なら復習する」、「その間の“〜”の場合は、その子どもの状態を総合的に判断して指導者が決定する」ことを大原則にしています。ただし、この完成時間はあくまで大原則としての「標準」です。完成時間そのものを守ることが目的ではありません。ですから、場合によってはx分以下でも復習することも、y分以上であっても進ませることもあります。なぜなら、目標に向かっていかにスムーズに進んでいけるか、その道をいかに意欲をもって進ませていくかということこそ大切だからです。この点においても、公文式は個人別指導を徹底しています。