施設での導入事例:
くれおカレッジもう少しだけゆっくりと、時間をかけて、社会人になる準備をしよう知的障害者のための新たな「学びの場」、くれおカレッジ

もう少しだけゆっくりと、時間をかけて、社会人になる準備をしよう知的障害者のための新たな「学びの場」、くれおカレッジ

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「遠路はるばる、ごくろうさまです!」

琵琶湖にほど近いJR瀬田駅から歩いて約5分、5階建てのビルの4階と5階にくれおカレッジはあります。カレッジの入口ドアを開けると、「遠路はるばる、ごくろうさまです!」という女性の声に迎えられました。女子職員の方なのかなとうかがってみると、その声の主はカレッジの女子学生さんだったのです。何とも温かな出迎えの言葉に、ここに集う、学びを提供する側の人達、そして学ぶ側の学生さん達の思いが詰まっているようでした。

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日本国内でもようやく十数年前から、知的障害のない発達障害児達が大学や専門学校へ進学するようになり、そのサポート体制を組む学校が増えてきました。けれども、今回ご紹介するくれおカレッジはまったく新しい構想のもとに生まれた、知的障害者のための「大学のような学びの場」です。具体的には、1・2年生で自立訓練(生活訓練)、3・4年生で就労移行支援と計4年をかけ、基礎学力を含む技能やメンタル面を磨き一般企業などへの就労を目指します。1学年の定員は10人。開校初年度である2014年は1年生のみで10人ですが、4年後には40人が学ぶようになります。

  

障害者の就労には2つの大きな課題があると言われています。1つは就労そのものが高いハードルであること。もう1つは、就労しても離職してしまう人が少なくないことです。くれおカレッジは、この2つの大きな課題に挑戦する、新たな学びの場でもあるのです。

くれおカレッジのシンボルマーク。「くれお」はラテン語で「創造」の意

くれおカレッジのシンボルマーク。
「くれお」はラテン語で「創造」の意

くれおカレッジのサロン。4年後には、ここに40人の学生さん達の笑顔が集う

くれおカレッジのサロン。
4年後には、ここに40人の学生さん達の笑顔が集う

もっと時間をかけて学んだり、将来のことを考えたりする時間がほしい

くれおカレッジの設立・運営母体は「共生シンフォニー」という社会福祉法人です。共生シンフォニーは、食料品やクッキーなどの製造や販売事業のほか、障害者のための様々な施設や事業所を運営しており、数多くの障害者を雇い入れています。くれおカレッジの構想はその中から生まれて来たと言います。ちなみに、「くれお」とはラテン語で「創造」という意味。元校長先生であった笹川さん(後出)が名付け親です。共生シンフォニーの常務理事であり、くれおカレッジの設立者でもある中崎ひとみさんは、こう話してくださいます。

「クッキーの製造事業だけでも障害がある方達にたくさん働いていただいていますが、特別支援学校を卒業してすぐに働き始める子達には、何か落ち着かない様子だったり、コミュニケーションがうまくできなかったり、冷蔵庫と冷凍庫の表示の区別がつかなかったりするような子が少なくありません。残念ながら辞めてしまう子もいます。けれど、1~2年すればコミュニケーションもでき始め、冷蔵庫と冷凍庫の表示もわかるようになります。さらに3~4年たつと、落ち着いて仕事ができるようになるのです。そうであれば、特別支援学校を卒業してすぐに就労を急ぐよりは、3~4年の年月をかけて、社会に出て大丈夫なだけの技能や学力を身に付ける、その子自身が自分の得意な面や特性を活かせるよう、就職先や人生をじっくり考える時間を創ったほうがよいのではと、ずっと思い続けていました」

くれおカレッジの設立者、中崎さん(共生シンフォニー常務理事)

くれおカレッジの設立者、
中崎さん(共生シンフォニー常務理事)

夢をもって学生達をサポートしていきたい

中崎さんがそう思い始めてから10年近くたった2013年の春、大津市の支援もあり、カレッジ構想が現実のものとなり、設立準備に入りました。「うれしかったですね。このカレッジでもっと時間をかけていろんなことを学ぶことができ、より多くの障害者が就労できるようになるはずです。途中で離職する人も減ると思います。しかし、一番困ったのは、カレッジのメインカリキュラム。いろいろ思い悩みました。パソコンに教育ソフトを入れて、各自にさせてはどうだろうかと考えたりもしましたが、なにかピンとこないのです。これで、一人ひとりがきちんと学べるのだろうか、就労につながる姿勢や力をつけられるのだろうかと…」

そんな中崎さんが出会ったのが、千葉県成田市にある就労移行支援事業所「就職するなら明朗アカデミー」でした。明朗アカデミーは支援プログラムのメインを公文式学習に据え、就労実績を大きく向上させています。ここを見学した中崎さんは、「これだ!」と得心したと言います。「伯母が公文式教室の先生だったので、私も公文式を学習したことがあり、このカレッジには公文もいいのかなという考えが頭の片すみにはありました。しかし、明朗アカデミーを見学して、公文式が基礎学力をつけるだけでなく、就労するためのいくつもの力を育てることがわかり、これをメインカリキュラムにしようと決めたのです」

そして2014年4月、くれおカレッジが開校。公文式学習もスタートしました。公文のほか、パソコン・英会話・SST(※)・音楽・演劇・書道などなど多彩な授業が用意されていますが、月曜から金曜の午前中は公文式算数と国語の学習です(水曜のみ公文は午後)。カレッジの職員であり、公文式の指導を担当されている皆さんに、その様子をうかがってみました。
※SST:ソーシャル・スキル・トレーニングの略、社会生活技能訓練

まず、橋本さんです。「公文も4月から始まったばかりですが、学生達は、達成感がとても大きいようですね。公文が始まる5分前には全員が着席していて、きょうもやるぞ!という空気になっています。集中して問題を解き、100点に仕上げ、ほめられるという毎日のくり返しによる達成感でしょうね。この達成感は、働くための自信につながると思います」

二人目は学生さん達の相談役でもある永田さん。「やはり、毎日これだけ集中して学習するという体験がとても大切だと思います。また、教材を採点のためにきちんと揃えて提出する、ミスを訂正し100点に仕上げるといったことも、書類を揃えて提出する、仕事を最後までやり通すことにつながるので、こういう日々の積み重ねは就労のために大きな力になると思います」

三人目はくれおカレッジの校長先生、笹川さん。以前は公立高校の校長先生だったそうです。「初めのうちは採点待ちや訂正の手順にとまどったり、混乱している学生もいましたが、今はすっかり定着してきましたね。じつは、メインカリキュラムを公文にすると聞いて、近くの公文式教室を見学させてもらったことがあります。これなら、学力に大きな開きがある、うちの学生達にもあっているなと思いました。対人関係やメンタル面など、まだまだ伸びてほしいところはたくさんあるので、そんなところも、公文の学習を通して支援していきたいと思っています」

笹川さん(校長先生)

笹川さん(校長先生)

橋本さん

橋本さん

永田さん

永田さん

2014年5月後半のカリキュラム

ふたたび、中崎さんです。「笹川さんはもともと先生ですが、橋本さんや永田さんもだんだん先生っぽくなってきたのがうれしいです。私はいつも、“夢を持って学生さん達を育成してほしい”とカレッジの職員に話していますが、言葉を聞くだけではなかなか実感できないことだと思います。それが、この4月から公文はもとより、いろいろな授業を自ら担当することで、学生達の伸びに手応えを感じ、ようやくそのことが自分の中で形になってきたのでは、と思うのです。学生さんだけでなく、私達も成長しながら、くれおカレッジを障害者のための真の学びの場にしていきたいですね」

(2014年7月現在)

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参照サイト
くれおカレッジ
共生シンフォニー

KUMONをより知っていただくためのキーワード

ミスを訂正し100点に仕上げる

公文式は、解き方を教わるのではなく、自分の力で教材の問題を解く学習法です。答えを間違えた時も、自分の力で間違えた部分を見つけて、そこから訂正することを大切にしています。ひとつひとつ自分で解いた跡を確認しながら訂正することで、考える力を鍛えることができるのです。

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公文式は、一人ひとりの「学力に応じた学習」 を行う個人別・学力別の学習法です。 らくにできるところを出発点にして学習を始め、常に自分の力にあった教材を自分のペースで解き進めることで、学ぶ楽しさとできる喜びを育みながら学力を高めます。

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