えいごTOPICS Vol.05

新学習指導要領の柱となる考え方、英語教育における変化への備えとして大切なことについて、向後秀明先生(敬愛大学教授)にお話を伺いました。

新学習指導要領の考え方

2020年度の小学校の学習指導要領改訂に始まった一連の英語教育改革では、小学3年生から高校3年生までの10年間で、「英語を使って何ができるようになるか」ということを明確な目標としています。中でも、英語で他者とコミュニケーションできるようになることを重視しており、高校卒業段階で、英語でディスカッションできるレベルを目指しています。小学校からこのことを意識して、中学校、高校につなげていくことが学習指導要領の柱となっています。

中学校の英語の授業はどのように変わった?

中学校では、今までよりも扱う英語の量が増えています。これにより、一度に多量の英文を高速で処理していくことが必要とされます。また、これまで中学3年生で学習していた内容を中学2年生で、高校で学習していた内容を中学3年生で-というように、文法事項などの一部を前倒しで学習するようになりました。評価の面では、新しくスピーキングテストが導入されるなどの動きが出てきています。このような変化に対する備えとして、日常的にどれだけたくさんの英語に触れて慣れているかということが大事になってきます。

英語学習で大切なこと

学習の初期段階では、英語をまねて言う、まねて読むことで、英語の音や文字に十分慣れさせることが、特に大切です。学校だけではなく、くもんの英語学習のように、家庭でも日常的に英語の音や文字に触れることができる環境はとても理想的です。その環境の中で、その子にとって適切なレベルの英語に触れられることが大切です。けれども、英語の音や文字を覚えることを強要されれば、子どもたちにとって英語学習は苦痛なものとなってしまいます。「日本語とは違う世界がある」「世界の様々な地域で英語が使われている」ということを知り、“未知の世界の冒険を楽しむ”といった感覚を持てるように、ぜひお子さんの世界を広げてあげてください。

家庭での関わり方のヒント

小学校で教科としての外国語(英語)が始まっていますが、ご家庭で保護者の方が関心をもって、お子さんに「英語の授業でどんなことをしたの?」「習った言葉を教えてくれる?」と聞いてあげてください。そのことが、お子さんにとって「今日はこんなことをやったな」という復習になり、学習によい影響を及ぼします。子どもたちが、「英語って楽しい!」「英語でこんなことを伝えたい」と未知の世界の冒険を楽しめるように、イングリッシュイマージョンアワー(EIH)のようなくもんのオンラインイベントを活用してみるのもよいですね。

■向後 秀明(こうご ひであき)先生プロフィール

敬愛大学 英語教育開発センター長 国際学部国際学科 教授

◇千葉県公立高等学校で英語科の教諭、千葉県教育庁にて指導主事。◇2007年、英語教育界の最高栄誉賞とされるパーマー賞(一般財団法人 語学教育研究所)を受賞。
◇2010年度より文部科学省初等中等教育局教育課程課・国際教育課外国語教育推進室 教科調査官、国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部 教育課程調査官を歴任。2017年4月より現職。