※書写歴は、取材時における年数です。

書写歴8年
Hさん(50代)

書写を通して日本独自の文化を楽しんでいます。

 私は今、毛筆を学んでいます。通い始めて早8年、書けば書くほど文字の奥深さを感じます。先生からよく言われるのが、「文字を書くときは余白を意識しましょう」ということ。たしかに美しい文字を書くためには、線と空間のバランスが大切です。「美しい文字を」と考えながら余白を意識して筆を運ぶと、日本の文字の特性に気づかされます。それはアルファベットのように単に伝達を目的とした記号ではなく、目で見て楽しむものだということです。当初は「50の手習い」くらいの軽い気持ちで始めましたが、今は書写を通して日本独自の文化を楽しんでいます。

文字が達筆だと訴えかけてくるものがあります。

 次第に文字自体にも興味が湧き、ここ数年は書に関する展覧会に足を運ぶようになりました。先日の仙台旅行では、伊達政宗が文字をしたためた屏風を見るため博物館へ。歴史上の人物がどんな文字を書いたのかを知ることは、とても面白いものです。それまで武将と言えば戦っているイメージしかありませんでしたが、書を通して知性を感じこれまでと違う一面に触れた気がしました。なかには「攻め込まれて負けそうだから助けてくれ」という情けない武将の書簡もありましたが、文字が達筆だと何か訴えかけてくるものがあります。文字がきれいだと説得力が増すとでもいうのでしょうか、その迫力に心動かされて助太刀すけだちした武将もいるんじゃないかなと思うくらい。文字の持つ力を感じずにはいられません。

新しい知識を吸収することは、
いくつになっても楽しいものです。

 一昨年から、年賀状に正岡子規の俳句や紀貫之の詩歌を書いています。気に入った句や歌を探して先生に変体仮名でお手本を書いていただき、それを見ながら書き写します。当初は変体仮名が読めず苦心しましたが、最近は少し慣れたようで、ずっと解読できなかった近所の料亭の看板も読めるようになったんですよ。
 また、家で私が文字を書いていると、娘が「お母さん来て、お父さんすごいよ!」と褒めてくれるんです。成果を感じたり周囲に認められたりすると、自ずとやる気が湧いてきます。新しい知識を吸収することは、いくつになっても楽しいものです。

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