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Vol.238 2017.12.05

学習療法実践研究シンポジウムin 名古屋

地域全体
高齢者を支えあう社会を目指して

2017年10月29日(日)、名古屋国際会議場にて「第3回学習療法実践研究シンポジウム」が開催されました。介護施設や自治体等の関係者、一般の参加者など約1,000名が一堂に会し、施設形態の壁を越えて知恵を集結しました。

目次

実践者が主人公

学習療法実践研究シンポジウムin 名古屋

10月29日、季節はずれの台風22号が接近する中、「第3回学習療法実践研究シンポジウムin 名古屋」が開催されました。このシンポジウムは、学習療法や脳の健康教室の目的、理論と方法、成果について紹介するだけでなく、各施設や自治体で培われてきた知識や経験を共有する場でもあります。今年は過去最高となる全国96の施設や団体が、分科会やポスター発表を実施。分科会の一つでは、佐渡市が脳の健康教室を認知症予防や地域づくりに活かしてきた事例を披露しました。

脳の健康教室は41都道府県の約230市区町村(2016年度実績)で開講されていますが、新潟県佐渡市では市民からの提案で2013年に開始されました。初年度は1会場のみの実施でしたが、参加者の利便性を高めるために小学校の空き教室を活用して5会場に増やしたところ、高齢者と児童の交流が生まれ、学校側からも授業や生徒指導に活かしていこうという動きがでてきたとのこと。「木曜日にしか来ないけれどとても楽しいです。私は木曜日になるのが楽しみです」と高齢者の来校を心待ちにする小学生の作文も紹介されました。

みんなで高齢者を支えあうために

学習療法実践研究シンポジウムin 名古屋

「学習療法」とは、音読と簡単な計算、コミュニケーションによって、認知症高齢者の脳機能の維持・改善をはかる非薬物療法のこと。午後の全体会では、認知症リハビリとしてこの学習療法を活用する方法について、もり内科クリニック院長の田仲みすず先生からお話がありました。
“認知症とは、新しいことが覚えられなくなる、理解力・判断力が低下する状態です。そして生活に支障が出て初めて認知症と診断されるのです。認知症の方は不安になると困った症状が起こりやすくなります。何度も同じことを聞く・言うのはミスしたくないから、同じものばかり買うのは好きなものを常に持っていたいから。認知症の方を理解し、不安にさせないよう、介護に携わる人たちが適切な声かけをすることが大切です”

また、田仲先生は介護老人保健施設の施設長を務めていた頃、高齢者に生きがいをもってもらう方法を模索しているときに学習療法と出合い、できる部分に光を当てるこの方法の有効性を体感されたエピソードを次のように話されました。
“年を重ねるとできないことが増えてくるため、ともするとできないことに目がいってしまいます。しかし、心不全で体がしんどいので動きたくないと言っていた方が、学習療法に取り組むようになったことで「頭の体操が好き」と学習の時間を待ちきれずエレベーターの前で1時間も前から待つようになったこともあります。重度の認知症によって記憶障害の症状が悪化しても、「楽しい」という感情を伴う記憶は残っているので、高齢者には健康維持や生活のサポートだけでなく、楽しみや生きがいをもってもらうことが必要だと考えています”

公文教育研究会は、学習療法や脳の健康教室を通して、高齢者が自信や意欲、誇りをもって楽しく生活を送っていけるよう、これからも高齢者を支えていく地域づくりに貢献してまいります。

関連リンク 第3回 学習療法 実践研究シンポジウムin名古屋 開催のご案内|プレスリリース 学習療法センター

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