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Vol.208 2017.05.09

高校生の、高校生による、高校生のための
「全国高校生徒会大会」とは?

「生徒会、学校をよりよくしたい」
という想いを持った
学生たちによる活発な意見交換

中学校や高校には必ずある「生徒会」。その生徒会役員たちが、地域を越えて全国で集う場を自分たちで作っていることをご存知でしょうか?2017年3月27~29日、衆議院第二議員会館で「第5回全国高校生徒会大会」が開催されました。「自分」を、「生徒会」を、そして「学校」を変えるきっかけになればとの想いからスタートしたが同大会。5回目となる今年は、全国の56校から114名が参加しました。その中には、公文式OBの姿もありました。彼らがどんな想いを持って生徒会活動をし、この大会に参加したのか。お話をうかがいました。

目次

生徒会から学校の生徒たち皆に還元する「何か」を模索した3日間

全国高校生徒会大会 実行委員長・栗本拓幸さん
実行委員長・栗本拓幸さん

「全国高校生徒会大会」は、高校生みずからが大会実行委員会を立ち上げて大会のテーマや内容を考え、当日の運営も彼らが行っています。会場を訪れると、全国から自主的に集まった高校生徒会役員たちが真剣な表情で話し合っていました。「生徒会や学校をよりよくしたい」という意気込みが伝わってきます。

今年、実行委員長として大会を取り仕切った栗本拓幸さん(神奈川県・私立浅野高等学校生徒会長)は、3年前に初めてこの大会に参加した時のことをこう振り返ります。「初めて参加した時、全国規模の大会を高校生だけで切り盛りしているってすごいと思いました。普通、高校生は自分の学校の枠を越えるのも難しいのに、ここに集う高校生たちは県さえ越えている。すごい場だと思いました」。実行委員長として関わる今年は、この場の意義を後輩たちにつないでいくことが大切だと思っていると言います。

自校の枠を越えて高校生たちが集まることで、さまざまな学校の事例を知ることができ、それによって自校の生徒会を見つめ直す。そして、ここでの学びを自校に還元できれば、生徒会役員ではない学校の生徒たちにも影響を与えることができる。そんなサイクルが生まれるきっかけとなりうるのが、この「全国高校生徒会大会」なのだそうです。また、この大会をきっかけに高校生たちのネットワークが生まれ、参加者たちは大会後もそのネットワークを活かして活動を続けていくそうです。

今年の大会のスローガンは“次に繋がる「 」を。全ての生徒にとってわくわくする学校生活を。僕ら生徒会が変えてゆく”。この大会に参加した生徒会役員が「わくわく」を持ち帰り、自校の生徒全体に「わくわく」が伝わり、結果として全国の高校生が変わっていく――。そんな想いが込められているそうです。栗本さんは、全国の高校の生徒会の共通課題として「一般生徒による生徒会への参加意識の希薄」があると言います。

「本来は、生徒一人ひとりが生徒会の会員であって、主体は生徒にあるんです。でも、今はそういう意識が薄れています。そこで、生徒会の方から何かを生徒皆に還元し、よりよい学校をつくろうという意識を持ってもらおうと考えました。その『何か』を見つけることが今大会の主旨となっています」

大会では、1日目に「自校の生徒会を見つめ直す」「次世代の生徒会を見つける」をテーマに、グループごとに話し合い、2日目には5つの議題に分かれて「問題別フリートーク」を実施。そして最終日には、話し合った課題についての結論を発表する場が設けられました。

同じ意識を持った仲間だからこそ、分かり合えることも多いはず。知識と気持ちを高め合う中で、自分たちの学校に必要な「何か」を、それぞれが一生懸命に模索する姿がありました。次ページでは、公文式学習経験者でもある大会参加者にインタビューをしてみました。

【公文式との関わり】
全国高校生徒会大会 六甲学院高等学校・岡田和也さん 六甲学院高等学校・岡田和也さん
幼稚園から小学5年生までドイツ、チェコに在住。ドイツに住んでいた時に現地の公文式教室に通っていた。今でも覚えているのは、「先生から大きな花丸をつけてもらうのがとてもうれしかったこと」。公文については、「基礎学力や机に向かうという習慣は、その時に身についたものだと思うので、通っていてよかったと思います」と語る。
全国高校生徒会大会 海陽中等教育学校・山本康太さん 海陽中等教育学校・山本康太さん
幼稚園の頃から小学5年生まで、公文式教室に通っていた。公文式の好きなところは「それぞれのペースで進むことのできる点」。公文での学習を振り返って、「日本には飛び級というシステムがないけれど、公文ではそれが可能。周りに合わせずに、自分のやれる範囲でどんどん学力を伸ばしていくことができました」「数学の基礎を身につけていたことが中学や高校で非常に役立ちました。また公文式国語教材では、『車輪の下』など有名な小説の一節に触れたことで、中学や高校でもスムーズに文学の世界に入ることができました」と語る。
全国高校生徒会大会 神戸市立科学技術高等学校・山根拓也さん 神戸市立科学技術高等学校・山根拓也さん
小学校の6年間、公文式教室に通った。公文で算数の計算が速くなり、算数が大好きになったとのこと。通っていた教室の先生は、子どもたちに寄り添って優しく接してくれ、「いつも安心して勉強することができたことが集中力を高めた要因になりました」と語る。

前例がないからこそ感じるゼロから作る「やりがい」と「難しさ」

全国高校生徒会大会 岡田和也さん
 岡田和也さん

昨秋から六甲学院高等学校(兵庫県)の生徒会長を務めている岡田和也さん。任期の半分を終え、その反省と課題をもとに、残り半期をよりよい活動にするために、今大会に参加しました。

―― 生徒会活動に関わるきっかけは何でしたか?
中学では全く関わっていなかったのですが、高校に入って「何かしたいなぁ」と思う中で、軽い気持ちで「生徒会でもやってみようかな」と思ったんです。僕たちの高校は、生徒会が設置されてまだ13年と歴史が浅くて、何をするにも前例がありません。だからゼロから自分たちで作っていかなければならないのですが、実際に入ってみて、それが面白いと思いました。

―― 生徒会活動をする中で、課題だと思うことは何ですか?
自校では生徒会の歴史が浅いために、生徒会の存在意義がまだ明確になっていません。ですから、後輩のためにも、僕たちが少しでも生徒会の存在意義を明確にしたいと思っています。

―― 大会に参加してみて、新しく取り入れたいと思ったことはありましたか?
僕たちの学校では、生徒会でいろいろと話し合って「こういうことをやってみよう」と考えたものを企画書にして先生方に提出しているんです。でも先生方からNGが出ると、その時点で生徒会からどんな企画が出たのかということは、生徒会役員以外の生徒たちには知られずに終わってしまいます。そうすると、結局、生徒会が何をやっているかということが皆にわからないですよね。それなら、企画書を作成した際に、それを公開するというのも一案かなと思いました。生徒会が何を考えているかといういいアピールにもなりますし、その企画に触発された他の生徒たちから貴重な意見が上がってくるかもしれません。生徒会への意識が高まるきっかけにもなると思いました。

先輩の後ろ姿を見て入った生徒会。学んだ「相手のことを知る」重要性

全国高校生徒会大会 山本康太さん
  山本康太さん

海陽中等教育学校(愛知県)の生徒会総務委員会の委員長を務めている山本康太さん。「他の学校の取り組みを知ることで、総務の仕事に役立てられることもあるのでは」と思い、みずから手を挙げて参加しました。実際に、大会では初日から大きな刺激を受けたそうです。

―― 生徒会に入ったきっかけは何でしたか?
高校に入って、学校の体制に対して疑問に思うこともあったんです。でも、そこで不平不満を言うだけでは何も変わらないなと。それで、生徒会で頑張っている先輩の姿を見て「自分で変えようとする努力をしなければ」と思い、生徒会に入りました。

―― 生徒会活動を通して、学んだのはどのようなことですか?
生徒の僕たちと、対外的なことも考えなければいけない先生方とでは、考え方も意見も違います。だから、僕たちの意見が通らないことも少なくありません。でも、それでただ文句を言っているだけでは何も変わりません。なぜ先生方がダメだと言うのか、それを知ることで対策を講じることもできます。自分たちのことばかりではなく、違う立場の人のことも知ることが大事なんだなということを学びました。

―― 大会に参加してみて、自分の高校でもやってみたいと思うことはありましたか?
今回話し合ってみてわかったのは、「生徒が生徒会に興味を持ってくれない」というのは、どの学校でも共通して抱えている課題なのだということでした。その中で、「支持率調査」をしたことがあるという学校があったんです。それは、すごくいいなと思いました。生徒が生徒会をどのように見ているか、ということが具体的な数字として表れて自分たちにとって参考になると思いますし、同時に生徒たちが生徒会に関心を持つ一つのきっかけにもなるのではないかとも思います。生徒会活動の活性化や透明化につながるのであれば、取り入れてみてもよいかなと思いました。

今年こそ実現させたい「目安箱」の設置。プライバシーを守りつつ見える形に

全国高校生徒会大会 山根拓也さん
 山根拓也さん

神戸市立科学技術高等学校(兵庫県)から参加した山根拓也さんは、生徒会では副会長を務めています。初日、会場の扉を開けた時にはとても緊張したそうですが、同じ意思を持つ熱い仲間たちとの話し合いはとても楽しかったそうです。その中で、どんなことを得たのでしょうか。

―― 生徒会の活動をするきっかけは何でしたか?
中学生の時の生徒会は、先生に言われた通りに動いているという印象でした。傍から見ていて「何か違うんじゃないかなぁ」と思っていたのですが、自分では何もできませんでした。それで、高校に入ったのを機に「やってみようかな」と思い、生徒会活動に参加しました。

―― 全国大会に参加したきっかけは何だったのでしょうか?
生徒会の顧問の先生から「こういうのがあるけど、どうや?」と言われて初めて知ったのですが、すぐに「ぜひ行ってみたい」と思いました。

―― 参加してみて、得られたものは何ですか?
自分の学校では、生徒の声を集める「目安箱」の設置が以前から検討されていました。今年は実現したいと思っているのですが、参考になる考えを得られました。具体的には、「どういう箱にするか」ということ。これまでは、意見をくれた生徒のプライバシーを守るために、生徒会だけが見られるようにしようと思っていました。でも、そうではなくて、生徒たちが見られるようにするという考え方もあると、今回の話し合いの中で気づきました。確かに「あぁ、そういう意見もあるのか」と思えば、他の生徒も意見を入れやすくなると思うんです。とはいえ、プライバシーを守ることも必要です。そこで、例えば用紙に意見を公開してもいいか確認するチェック欄を設けて、「はい」というものだけを生徒たちが見られるように掲示板に貼るとか、方法はいろいろあると思いますので、改めて考えてみようと思っています。

全国高校生徒会大会

会場は、参加者たちの「自分の学校をよくしたい」「生徒会を生徒たちのために役立てたい」という真剣な想いで常に熱気を帯びていました。学校での活動を通じて、地域の活性化や地域の役に立ちたいと考えている高校生も多くいるようでした。学校、地域、そして社会に貢献しようという生徒たちの力強さが感じられる大会でした。

関連リンク 全国高校生徒会大会オフィシャルサイト

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