スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2015/11/20更新

Vol.026 立命館アジア太平洋大学学長 是永駿先生  前編

一人ひとり尊い命
異なる他者を思いやれる人こそ
真のグロ―バル人材

是永 駿 (これなが しゅん)
1943年福岡県生まれ。大阪外国語大学外国語学部中国語学科を卒業後、出版社勤務を経て大阪外国語大学大学院外国語学研究科中国語学専攻修士課程を修了。博士(言語文化学、大阪大学)。鹿児島経済大学、大分大学、大阪外国語大学などにおいて教授を務めた後、2003年には大阪外国語大学長に就任。2008年4月には立命館アジア太平洋大学に移り、2010年1月より同大学長に就任、現在に至る。

大分県の別府湾を一望できる山頂に位置する立命館アジア太平洋大学は、教員も学生も約半数が外国籍、講義は日本語と英語の二言語制です。そんなグローバルな大学で学長を務められている是永先生。中国現代文学の研究者としても実績を誇る先生は、「日本もアジアのひとつ」という思いのもと、世界でも有数の多様化が進む大学の運営に貢献されています。グローバル化が言われるなか、「真の国際人」となるには何が必要なのか、先生の生い立ちを振り返っていただきつつ、お話をうかがいました。

忘れられないお釈迦様のポーズ
「天上天下唯我独尊」が常に心の中に

私が2008年からお世話になり、2010年1月から学長をしている立命館アジア太平洋大学(以下、APU)は、2000年に開学した新しい大学です。学生は現在約6,000名で、そのうち2,900名が「国際学生」、つまり留学生です。彼らの国籍は世界83ヵ国・地域に及びます。教員も専任教員173名のうち86名が外国籍で、23ヵ国にわたっています(2015年11月現在)。そういう意味で、APUは地球上でもっとも多様性に富んでいる大学といえるでしょう。大学の運営にあたっては、いろいろな人とよく話し合い、齟齬がないよう日々心がけています。 

私は、父は新聞記者、母は専業主婦というごく普通の家庭で、4人兄弟の長男として育ちました。両親とも「ああしろ、こうしろ」と言わず、わりと放任でしたね。子どものころは絵が好きで、小・中学時代は絵画クラブに所属していました。中学生の頃、「将来の家の見取り図を描きなさい」という宿題で、一部屋をアトリエにした見取り図を描いた記憶があります。

そんなふうに、いたって普通の子ども時代でしたが、忘れられない原風景があります。それは5、6歳のころだったでしょうか、姉と一緒にお釈迦様の誕生日を祝う灌仏会(かんぶつえ)花まつりで、お釈迦様に甘茶をかけに行ったときのことです。そのお釈迦様は天上に向かって指を1本差し出していました。お釈迦様が生まれてすぐに、七歩歩いて右手で天を指し、左手で地を指して「天上天下唯我独尊」と言ったと伝えられている、あのポーズです。幼なごころにその姿がとても鮮明に心に残りました。

もちろん、当時は「天上天下」なんて知らず、「甘茶がおいしかった」としか感じませんでした(笑)。中学生になってようやく「天上天下唯我独尊」の言葉と意味を知り、あのときの原風景とともに、それ以来「自分の存在がいかに尊いものか。まずは自分を大事にしなければ」ということをずっと心に置いています。

是永先生が中国文学に目覚めたきっかけとは?

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