スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2014/01/31更新

Vol.005 丸の内ブランドフォーラム代表 片平秀貴さん  後編

気乗りせずとも
飛び込んでいくと拓け
それぞれの「らしさ」を大切にすれば
人生はもっと豊かになる

片平 秀貴 (かたひら ほたか)
1948年生まれ。ビジネスフォーラム「丸の内ブランドフォーラム」を主宰。国際基督教大学卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程で学び、大阪大学経済学部助教授、東京大学経済学部助教授を経て、同大大学院経済学研究科教授に。ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院、カリフォルニア大学バークレー校、ストックホルム・スクール・オブ・エコノミクス等で客員教授を歴任。主著に、『マーケティング・サイエンス』 (1987年 東京大学出版会)、『パワー・ブランドの本質』 (1998年 ダイヤモンド社)、『世阿弥に学ぶ100年ブランドの本質』 (2009年 ソフトバンククリエイティブ)などがある。

「ブランド」の本質を解き明かし、人々の“ワクワクする暮らしづくり”に貢献する片平秀貴氏が、ブランド研究の第一人者となったのは、気乗りしないことにも前向きに取り組んできたことが背景にあるといいます。「へそ曲がり」を自認される片平氏の半生から、学びに対する姿勢、どうやってわが道を切り拓くかを探ります。

期せずして行ったカナダ赴任がきっかけで、世界から声がかかるように

ミクロ経済の面白さに目覚めた私は、その中でもよりミクロなマネジメント・サイエンスの研究者になりたいと思うようになりました。自由にデータをもとに科学的検証をして、事業戦略の知見を得るという学問です。幸いICUの図書館では、関係する英語の文献が割と自由に手に入りましたので、勝手に相当高度な論文もワクワクしながら読んだ記憶があります。もともとアメリカで勝負したい、修士もPh.D.(博士号)もアメリカでとりたいと思っていたので、この分野で名のあるアメリカの大学に行こうと具体的に考えていました。

そんなとき、中高からの悪友がそういうことならうちの恩師に会えと強く薦めてきました。当時慶応大学の教授で日本のマーケティング論の若手の第一人者だった村田昭治先生です。正直そのときはお名前も知らず、分野も少し違うということで気乗りしなかったのですが、友人の顔を立ててお会いしたところ「修士は日本で取れ。しかも君がやりたい分野であれば、大学院は東大か阪大しかない」と大変説得的なご助言をいただき、そうすることに決めたのです。ただし、時は11月。阪大はすでに願書受付を締め切った後でしたが、東大は安保闘争の影響でこの年だけ募集期間を遅くしていて、しかもそれまで学外からの募集はしていなかったのにたまたま募集していたのです。それで運よく東大の大学院へ進むことになります。

東大では、企業経済の宮下藤太郎先生に師事し、併せて阪大からいらっしゃっていた大澤豊先生にマーケティングを教わりました。宮下さんからは「真理の前に上下なし」を教わり研究指導者としての基本を叩きこまれました。大澤さんからはその後専攻することになったマーケティングの手ほどきを受け、お亡くなりになるまで恩師としてお世話になりました。いまお二人を「さん」とお呼びしたのは、宮下ゼミも大澤ゼミもその当時では考えられない自由な雰囲気でみな「先生」と呼ばずに「さん」と呼んでいたからです。この宮下、大澤両先生こそ村田先生が名指しで師事すべしとお薦めになったお方で、東大で一度にお二人の指導を受けられたなんてまさに幸運としか言いようがありません。

そんな「運が良すぎる」人生を過ごしてきた私が言えるのは、「いい話は予定調和では来ない」ということ。しかも僕の場合、「会いたくない方に会う」「行きたくない会合に出る」という一見ネガティブなことがきっかけで、人生が決まることが多かったように思います。へそ曲がりだったからこそ、気が乗らないことにも取り組めたのかもしれませんが、そんなときでもポジティブに捉えてやってみると、案外おもしろい結果が出るものです。

その後、1989年以降海外のさまざまな大学で教えることになるのですが、これも初めから意図していたことではありません。最初のきっかけは、東大の助教授時代、誰も行きたがらないカナダの大学に、文化交流の目的で3ヵ月間滞在したことでした。

あまり気乗りせずに向かったカナダでしたが、せっかくだからと日本へ帰る途中、知人のいるマサチューセッツ工科大学に寄って行きました。そこで、その当時米国の学会で流行していた分析手法をまな板にあげて「あなた方の方法は間違っている。こうすべきだ」と、まるで道場破りのごとく、日本で開発した分析手法を自信をもって伝えたのです。現地の教授陣からしてみれば、「アジアから妙な奴が来た!」という感じでしょうが、私の熱心さが伝わったのか、帰国後、マーケティング・サイエンスの分野の第一人者のジョン・リトル教授から、「ダラスで学会があるから、そこで発表してみては」とファクスが来たのです。出席すると、たくさんの学者の方と仲良くなり、その後、アメリカを中心にさまざまな大学へ呼ばれるようになりました。

こうしてふり返ると、我ながらまったくロジカルな展開ではないですね。「これ、やらない?」と誘われ、「気が向かないけどやってみよう」と、チャレンジしたことで道が拓けてきたように思います。

強いブランドに共通するキーワードとは?

関連記事

2014/01/24更新

Vol.005 丸の内ブランドフォーラム代表 片平秀貴さん

気乗りせずとも飛び込んでいくと道は拓け、それぞれの「らしさ」を大切にすれば人生はもっと豊かになる

KUMONグループの活動  2018/07/31更新

Vol.267 KUMON60周年スペシャルコンテンツ(1)
片平秀貴さん

ブランド研究の専門家、片平秀貴氏に聞く! 世界に通用するブランドの共通点とは?

2014/10/02更新

Vol.013 年間ハイライト

人との関わり、師との出会い、紆余曲折、探求への目覚め、そして学びを究める

2013/11/22更新

Vol.003 経営学者 野中郁次郎先生

体験の質量が新たな「知」を生み出すリスクを恐れず実践しよう

2016/08/12更新

Vol.034 経営学者 藤川 佳則先生

いまのあたりまえが 未来のあたりまえとは限らない 「地球儀を眺める」ような視点をもとう

バックナンバー

2018/11/30更新

Vol.051 跡見学園女子大学 学長
笠原 清志先生

心を開き、異質なものへの 素直な興味を持ち続けよう

2018/09/28更新

Vol.050 大阪市立大学大学院 経営学研究科 教授
山田 仁一郎先生

「学問」は先人から受け取った 人類の「知恵の蓄積」 未来につなぐため、学び続けよう

2018/05/11更新

Vol.049 広島大学 教育開発国際協力研究センター長
吉田 和浩先生

日本は「教育」で世界に貢献できる 持続可能で平和な社会を築くことが 「教育の国際協力」のゴール

2018/04/20更新

Vol.048 書写書道教育研究者 宮澤正明先生

人をおもんばかる気持ちを育む 書写の学習効果

2018/03/23更新

Vol.047 英語教育学者 町田 智久先生

英語は新しい文化を 教えてくれる「扉」 楽しみながら学んでいこう

記事アクセスランキング

おすすめ記事 Recommended Articles
KUMONトピックス
Feature Report 進化し続ける活動
カテゴリーを表示
NEW
Vol.285
KUMON60周年スペシャルコンテンツ(6) 多賀幹子さん
ジャーナリスト多賀幹子さんが語る 指導者の情熱こそKUMONの神髄
Vol.284
ポーランド共和国に公文式教室開設
ポーランド共和国に公文式教室開設 ~KUMONは51の国と地域へ~
Vol.283
学習療法実践研究シンポジウムin ふくしま
「学習療法」「脳の健康教室」を活かし みんなで高齢者を支えるために
Vol.282
くろくまくん絵本10周年
くろくまくんに込められた想いとは?
OB・OGインタビュー
Catch the Dream 夢をかなえる力
NEW
Vol.059 後編
ジャズヴォーカリスト
古瀬里恵さん
何ごとも続けることが力になる その力が自信となって チャレンジする勇気につながる
Vol.059 前編
ジャズヴォーカリスト
古瀬里恵さん
何ごとも続けることが力になる その力が自信となって チャレンジする勇気につながる
Vol.058
コピーライター
佐々木圭一さん
「伝え方」を学べば、  人の心を動かし行動を変えられる。  子どもたちの夢を後押しできる。
Vol.057
イラストレーター ももろさん
成長していこうと思う限り 学びに終わりはなく、 人生を拓くきっかけになる
KUMON now! フェイスブックページ
KUMON now!に「いいね」して、子育てに役立つ情報を受け取ろう!

What’s
KUMON?

これまでも。これからも。
KUMONはずっと
「学ぶ集団」であり続けます。

KUMONは、50を超える国と地域に、「学び」を提供しています。

乳幼児から高齢者まで。
生涯を通じて学ぶ喜びをお届けします。

Baby Kumon / 書籍・知育玩具 / 学校・施設・企業への導入 /
認知症の予防と維持・改善 / 書写 /
日本語/ フランス語/ ドイツ語

公文教育研究会
代表取締役社長
池上 秀徳

指導者も社員も
「子どもから学ぶ」。
KUMONはいつも
学び続ける集団です。

私たちが大切にしている、創始者の
ことばがあります。

学ぶ力は、やがて生きる力へ。
KUMONは一組の親子の
絆から生まれました。

KUMONは、公文式学習を通して、
「生きる道を自らの力で切り拓いて
いける健全で有能な人材」の育成を
目指しています。

公文式教材のひみつを
わかりやすくご紹介。

公文式になくてはならない
指導者の役割とは。

私たちには「夢」があります。教育を通じて世界平和に貢献することです。

時を越えて。国境を越えて。
すべては、一人ひとりのために。

日本の子どもたちから
世界中の人たちへ。

    • KUMONグループ会社一覧
    • さまざまな場で「個人別・
      ちょうどの学習」を実践。
      世界各地に広がっています。
    • お問い合わせ・資料請求
      KUMONへのご意見、ご質問などを
      お寄せください。
    • お問い合わせ
    • ロゴに込められた想い
    • この、KUMONのロゴ。どこかで見かけたことありませんか?
      このロゴには私たちの想いがたくさんつまっています。