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Vol.057 2018.09.14

イラストレーター ももろさん

<後編>

成長していこうと思う限り
学び終わりはなく、
人生を拓くきっかけになる

イラストレーター

ももろ (ももろ)

神奈川県生まれ。地元の小学校を卒業後、公文国際学園に進学。理系の大学・大学院に進み、一般就職。働きながら各種コンテストに応募したり、展示会に出展したりすることを機に、イラストレーターの道へ。笑い声が聞こえてくるような生き物の動きや、楽しくなる色の組み合わせを大切に、ストーリー性のある外国の絵本タッチのイラストを制作。雑貨やステーショナリー、ぬいぐるみのデザイン、教材の挿絵なども手がける。オリジナル雑貨ブランド Bitte Mitte も展開中。

思わず「かわいい!」と声をあげてしまうような愛らしい動物たちのイラストを得意とする、ももろさん。書籍の挿絵や絵本の制作などのほか、自身の雑貨ブランドをもつなど、幅広く活動されていますが、実は絵を仕事にするとまでは考えていなかったそうです。そんなももろさんが、イラストレーターとして活躍されるまでには、どんな道のりがあったのでしょうか。公文国際学園に通学するようになったきっかけや、学園生活のエピソードもあわせてうかがいました。

目次

働きながらひたすらコンテストに応募

イラストレーターももろさんの作品

高校卒業後は、美術系ではなく一般の大学の理系の学部に進み、大学院を経てふつうに就職しました。大学時代は忙しくて、絵からは遠ざかっていましたし、絵で稼げるわけはないと考えていたんです。でも就職してからは少しずつ時間に余裕ができて、また絵を描くようになりました。

じつは当時、そのときの仕事に人生をかけるほどのやりがいを見出せていませんでした。それで、自分にとってやりがいは何かと考えたときに「あ、絵かも」と、楽しかった思いがよみがえったんです。実際、描いているうちに楽しくなってきて、いろいろなコンテストにも応募するようになりました。

毎月テーマが変わる、あるコンテストに応募し続けたのですが、何度も落選。受賞者の作品を見て、色や配置、余白の傾向を分析するなど、自分なりにすごく勉強しました。やがて、「クリスマス」がテーマだったとき、「今月の1枚」に選ばれました。それが最初の受賞です。この毎月テーマにあわせて描くというのは、単に好きなものを描くのではなく、「クライアントのオーダーに応えて描く」というイラストレーターの基本を学ぶことになったと思います。

ほかにも年賀状素材のコンテストにも応募して、入賞したりしながら、ひたすら応募し続けました。すると、同じように応募し続けている人から、「一緒にグループ展をやろう」「イベントに出よう」などと声がかかり、活動が広がりました。このときの仲間とは、いまでも情報交換をしたり将来のことを話したり、お互い支え合う大切な関係になっています。

大きな転機となったのは、クリエイターの展示会(商談会)への出展でした。イラストレーターだけで100人くらい出展している営業イベントで、一人ずつ小さなスペースをもって、作品をアピールします。出展料もかかりましたが、突破口としてチャレンジしたら、これを機に仕事をたくさんいただくようになりました。そして、絵本雑誌『MOE』の紙上コンテストでは、2013年8月号のトップ賞を受賞。うれしかったですね。

ももろさんがイラストを描く上で大切にしていることとは?

「自分らしさ」を持ち、
自分のことを考える時間をつくる

イラストレーターももろさんの作品

いまは描いたものをウェブにアップすると、すぐにたくさんの人に見てもらえます。それはいいなと思う反面、誰でもいい絵が描けたらお金が入る仕組みができあがっているので、競争が激化したと感じます。時代にあわせてやり方を変えていかないと、生き残るのも大変になっています。

そんななかでも私が心がけているのは、自分がしたいことや興味のあることを大切にすること。上手い絵を描ければ仕事になるということでもなく、自分らしさを持つことが、この仕事では重要になってくるなと感じています。そのため定期的に「自分はいま、何がしたいのか」と自問自答する時間をとるようにしています。

私の場合、自分らしさとは、やはり「動物」の絵が得意なこと。イラストに描き入れる動物のリアリティがなるべく伝わるような表現を追求することにこだわっています。動物によって関節の位置が違うので、そういう特徴を入れると、その動物らしくなります。一方で、テディベアはぬいぐるみらしさを出すために、ひざの関節を描かなかったりします。何回描いていても自分のなかに入っていないと、一般的なフォルムになってしまうので、自分でしっかり調べて描きます。面積によっても色の見え方が違ってくるので、配色も大事。色についてはフランスの配色の本を参考にしています。

イラストレーターになる間口は広がっているとは思いますし、実際、在学中から稼いでいる人もいます。インターネットのお陰で、いいイラストはすぐに目につきますし、イラストレーターと名乗ればなれてしまう反面どんどん素晴らしい絵を描く人も出てくるので、競争も厳しい職業だと感じます。ただ、クライアントさんと考えたり悩んだりしながら一緒に作ったものがいろんな人に喜ばれたり、役に立ったりしたときは、本当に達成感があります。「絵を描くのが好き」だけではなく、人と一緒にものを作るのが好きな人が向いている仕事かもしれません。

ももろさんから子どもたちへのメッセージ

興味があること、学びたいことに没頭する時間を大切にしよう

イラストレーターももろさんの作品

私もまだまだ学ぶことがあると感じています。「学ぶ」ということは、何の道に進んでも、成長していこうと思うかぎり、終わりはありません。ですから、いま興味のあること、学びたいと思うことがあったら、そこに没頭する時間を大事にしてください。それが強みとなり、自分らしい人生を拓くきっかけになると思います。

私の場合もそうでした。一度は絵以外の別の道を、と思っていましたが、結局昔から興味のあることに戻ってきました。幼いころの興味は将来につながると思うので、お子さんをお持ちの方には「興味のあることをやらせてあげて」と伝えたいですね。私の親は、小さいころからそのとき興味あることを存分にやらせてくれました。大学院進学や就職活動、イラストの製作活動も好きにさせてくれ、「悔いなくやりきった」感があり、両親には感謝しています。

最近、ある新書の帯を描くお仕事をさせていただきました。生物学にもとづいた内容で、理系で学んだことを思い出し、そういう本に立ち返ることも自分の強みになるのかもと、サイエンス的な書籍を読み返したりしています。小さいころに動物図鑑を見ていたことも、とくに意識していませんでしたが、自分の学びや体験も大事にしていかなきゃと思うようになりました。こうして学び続けることが、自分の強みをさらに強くしていくのかもしれません。

今後については、少しでも多くの人に、見ることでやすらいだり、楽しい気持ちになってもらえるような絵を描いていきたいと考えています。できればそれが、なんらかの形で長く残るような仕事をしていきたい。具体的にいえば絵本かな。でも、自分の予想もしない仕事もあるので、「これはいろんな人に見てもらえそう」と思ったら、絵本に限らずやりたいですね。ぬいぐるみになった動物もいますよ。

絵本はめくったときにしか見てもらえませんが、雑貨の場合、毎日見てもらえます。購入した方から「持っていて毎日楽しい」「みんなにほめられました」という感想をいただくと、「ああ、描いていてよかったな」とうれしくなります。いずれにしても、毎日見ても飽きないイラスト、見てうれしくなるようなイラストをめざしたいと思っています。

前編を読む

関連リンク ももろ ホームページももろ Twitterももろ Facebook『ミルクが、にゅういんしたって?!』※こちらの児童書はももろさんに挿絵をご担当いただきました。


イラストレーターももろさん  

前編のインタビューから

-イラストレーターの仕事とは?
-ももろさんが動物好きになる素地をつくった子ども時代
-公文国際学園での生活とは?

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